エリック・ロメール監督おすすめの映画ランキングTOP5

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エリック・ロメール監督おすすめの映画ランキングTOP5

おしゃれな雰囲気に魅かれて観始めたのですが、心の奥を覗き込むような会話と、意外なほどドライに流れていく人間関係に魅かれていきました。経てすればじれてしまいそうな人間関係が、破綻することなく上手に続いていく様子が、うらやましく感じられるのが心地良いです。

 

 

第5位.エリック・ロメール「冬物語」

エリック・ロメール「冬物語」がおすすめの理由

エリック・ロメールの四季物語のラストを飾る作品と言えます。けれども、映画として上映されたのは早い段階なので、日本の四季の感覚というよりも、フランス人ならではの意識が反映されています。冬は終わりを意味する季節ではなく、むしろ途中経過であって、乗り越えるべき試練や悲しみの季節という感じがします。春を迎えるためには、どうしても迎えなければならないという切実さも感じられます。冬の過酷な状況が、他人事のようにさらりと描かれていますが、自分のこととしてとらえてしまうとも悲し過ぎて胸が張り裂けそうです。ロメールは見事に、他人事の視線を強調することで、見ている人の痛みを和らげているのではないでしょうか。恋愛が上手でなくても、恋に落ちてしまうことがよくわかります。恋に落ちて、あっさりと妊娠してしまえば、もう親子の誕生です。そこに夫婦が不在なのは、本当につらいことですが、冬の終わりに春が来ることを暗示しているのが救いと言えるので、ここからがスタートだと気づかされます。

 

 

第4位.エリック・ロメール「夏物語」

エリック・ロメール「夏物語」がおすすめの理由

もっとバカンスを満喫している夏を描いているんだと思ったのですが、予想に反して切なさと哀しみがにじみ出ている映画に感じられました。なによりもユーモアがあふれています。男と女が出会うということが、必然でありながらも、運命的というよりも、滑稽な姿に想えてしまうのは、ロメール流のユーモアかもしれません。夏物語を観ると、自分に自信が持てるんだと思います。これは誰もが、人生の主役であり、主人公になれるんだというメッセージてあると同時に、恋愛は快楽そのものなのが重要なのだという教訓にも受け取れます。快楽のない恋愛は、うすら寒くなるだけの人間関係なのかもしれませんが、だからといって快楽だけでうまく円滑な関係が築けるかというと、むしろ逆。会話すべてが、美しい歌の歌詞のようで、身につまされます。映画館でパンフレットを購入した時に、セリフが表記されていて、何度も読み返しました。恋愛から人生を学べると知ることのできた貴重な映画作品です。

 

 

第3位.エリック・ロメール「海辺のポーリーヌ」

エリック・ロメール「海辺のポーリーヌ」がおすすめの理由

ロメールは「終わり」を描くのが素晴らしいです。恋の終わり、季節の終わり、夏の終わり、それらすべてが美しい叙事詩に仕上がっています。海辺のポーリーヌは、思春期ならではの不機嫌さがあますことなく描かれていて、自分で自分をコントロールできなくなる恋愛や、勢いだけで誰かと交わってしまえる動物的な野生の性欲が、あますことなく感じ取れます。潮風に揺れるポーリーヌのワンピースは、とても美しくて哀しみに満ち溢れています。性欲は食欲のように体の芯から湧き上がってきて、とにかく何かを食べたいという感覚に支配されていくのが分かりますし、食べるものが何もなくて飢えているうちに食欲そのものがなくなってしまうことも理解できます。異性と交わることの喜びと、この程度なのかというあきらめのような残念さもまた、人生の味わいなのだと理解できます。恋に浮かれたい年頃にこそ、観ておきたい映画です。けれども大人になってから観たので、実際は大人向けに奏でられた音楽のような寓話だと感じています。

 

 

第2位.エリック・ロメール「春のソナタ」

エリック・ロメール「春のソナタ」がおすすめの理由

エリック・ロメールの傑作です。哲学と文学がにじみ出ていて、なにげない庭を歩くシーンの美しさは、身震いするほどでした。特別なドラマを用意しなくても、人間関係は素敵なのだと理解できる映画です。人工的な甘みも色も付けられていないお菓子のようです。素朴な味わいだからこそ、本気で燃え上ることができるのでしょう。恋も同じです。味付けも色付けもないところで、体の芯が暑くなっていくことを教えてくれます。恋は、こういうもの。そのことを痛感させられます。なによりも嬉しくなります。ドラマティックな展開を期待してしまいがちな映画鑑賞がスタートだとしても、春のソナタを観始めて数分間で、ああ、このままでもいいなと思えてきます。自分の人生がドラマ仕立てである必要もないのですし、それは映画も同じこと。主人公たちが、とても身近に感じられて、皮膚呼吸まで感じ取れるような親密さを感じることができます。神がかりなカメラワークを堪能できます。ロメールで一本と言えば、これを挙げても良いくらい。傑作です。

 

 

第1位.エリック・ロメール「獅子座」

エリック・ロメール「獅子座」がおすすめの理由

エリック・ロメールが素晴らしい映画監督なことが、これを観ればわかります。春のソナタを観てから、リバイバル上映で堪能しました。モノクロームの世界です。救いようのない、なんとも地味で鬱屈している主人公の姿なので、はじめは獅子座というイメージが感じられませんでしたが、話が進むうちに、彼こそが、もしかすると星の王子様のような存在なのかもしれないなと、心の純粋さと、人間の内面的な高貴さに気づくことができました。いよいよラストが近づいてきたのか、という展開が待っています。ロメール流の、淡々とした映画というよりも、あますことなく華やかな演出が用意されていたからです。パリの街角で寝転がりながら、うす汚れていくだけの人生に見えてしまったとしても、こんなにも素敵な星空が眺められて、美しい女性に心が惹かれながら命を燃やし尽くすことができるんだと教えてもらえます。生きることは、命を燃やすことであり、素晴らしい恋を全身全霊で味わいつくすことなのだと、とても饒舌に魅せてくれます。ですから獅子座はエリック・ロメールが地球人類に降臨させることに成功した、神の領域の物語なのかもしれません。モノクロームなのに彩り鮮やかな、神話そのものとして感じることができます。また劇場で観たいと願い続けている映画です。

 

 

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