グザヴィエ・ドラン監督おすすめの映画ランキングTOP5

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グザヴィエ・ドラン監督おすすめの映画ランキングTOP5

若くして成功し、天才の名を欲しいままにしているグザヴィエ・ドラン。自身が監督した作品に主演することも多く、その美貌を活かして俳優としても活躍しています。この人本人の、そして作品の好きなところを説明するとしたらそのセンスとしか言いようがありません。とにかくセンスがいい。映像にもファッションにも間合いにもテーマにも独特のセンスがあり、それが観る人を虜にするんだと思います。

 

 

第5位.グザヴィエ・ドラン「胸騒ぎの恋人」

グザヴィエ・ドラン「胸騒ぎの恋人」がおすすめの理由

初めて、グザヴィエ・ドランの作品に触れたのがこの『胸騒ぎの恋人』でした。まず思ったのが、画面に映し出されるすべてが絵画的であり芸術的であるということ。色彩、ファッション、音楽、セリフ。そのすべてが美しく特別な魅力に満ちた作品だなと。日常に飲まれとっくに失われてしまっていたかに思えた自分の中の価値観、美への憧れ、追求心。この若き監督はそんな厄介なものを呼び覚まさし、同時にまざまざとその才能を見せつけてくれました。こんな人がいたんだと。日常に埋もれ、私が目の前のものばかり見ている間に、こんな素敵な人が映画界に登場していたんだと。まさに目の前で何かが弾けた感じ。それだけグザヴィエ・ドランという人の登場は衝撃的だったんですね。きっとそのスパークは私の小さな頭の中だけで起こったのではなく、世界にとっても同じ事だった。その後の彼の活躍ぶりを見れば一目瞭然ですけれど。この作品のストーリーは二コラというギリシャ神話のミューズのごとき美しい青年をめぐる女友達マリーとゲイのフランシスの三角関係。三角関係と言ってもドロドロしたものではなくもっと甘酸っぱい青いリンゴを齧ったような感覚のモノです。グザヴィエはフランシス役で登場し役者としてもその魅力を余すところなく発揮しています。

 

 

第4位.グザヴィエ・ドラン「マイ・マザー」

グザヴィエ・ドラン「マイ・マザー」がおすすめの理由

グザヴィエ・ドランの記念すべきデビュー作。母親と思春期の息子の関係を描いた作品です。私がこの映画を選んで見たのは、ちょうど公開された年2009年に自分にも息子が出来たからでした。作品を見たのはもう少し後で、でも子供はまだ小さく母親を愛し頼るだけ。私も無条件に息子が可愛いまあとても良好な状況下でこの作品を見たわけです。罵りあい、罵倒しあい、すれ違って、また寄り添うこの母子の姿を。自分の中では思春期のユーベルの感情も理解できたし、面白いことに母親のシャンタルの感情も痛いほど理解できました。母親だって初めから母親であったわけではないのに、気づけば自分の母と同じようなことを言ったりしたりしている。それが子供の感情を傷つけたり不安にさせたりすることであると時に気づいてはいても。母親という生き物はやはり子供に対してある種同じような態度を取るものなのだと思います。それも良かれと思って。反発は免れないと分かってはいるのに。シャンタルもきっとそうなんだと思います。それで親子の間にある特別な甘えや愛憎の感情を描くとこんなに激しいものになるのかと。疲れるはずです。親も子も真剣に向き合えば向き合うほど疲弊してゆく。息子は10歳になりました。この映画は息子を育てる上での参考書としてずっとそばに置いておきたいですね。

 

 

第3位.グザヴィエ・ドラン「たかが世界の終わり」

グザヴィエ・ドラン「たかが世界の終わり」がおすすめの理由

グザヴィエ・ドランの2016年の監督作品。この作品は自分がもうすぐ死ぬことを知って疎遠だった家族のもとを訪れるルイと、ルイの帰宅によって浮き彫りにされるバランスを崩した家族の様子を、ほんの一瞬、彼の滞在日を舞台として切り取った濃密な人間ドラマです。家族というのは一番分かり合えているようで、実は一番本音で話をしない人間関係なのかもしれないとこの映画を見て考えました。ルイは家を出た理由は告げませんが、家族の様子を見ていると私でも今すぐここから飛び出して、自分が選んだ気の合う友人や恋人たちと分かり合える話をし、理解しあい慰めあえる関係を築きたいと感じてくるのです。でも家族にだって、それぞれの感情が、言いたいことや考えがあるのでしょう。ルイの帰宅はなんとか保たれていた彼らの均衡を崩すに足るものでした。ルイは自分の死について話に来たはずなのに、会話は一向に進みません。ぎこちなく無意味な会話が続いてゆくのを、はたまたつまらない小競り合いや喧嘩が起こるのを、観客はただただ見守るしかないのです。でもそこに家族のリアルさが見えてきて、自分の家族にルイはいなかったか、もしくは自分こそがルイではないかと一縷の虚しさを覚えながらこの映画を見ました。

 

 

第2位.グザヴィエ・ドラン「マミー」

グザヴィエ・ドラン「マミー」がおすすめの理由

デビュー作『マイ・マザー』に続いて、グザヴィエ・ドランが母親と息子の関係を描いた作品。こちらは設定がもう少し特殊で、ADHD(多動性障害)のある15歳の息子スティーブと、クセのあるシングルマザーのダイアンが主人公。もっと特殊なのがこの世界には、障碍児を持つ親が親が経済的困窮や身体的精神的な危機に陥った場合、法的手続きを経ずに養育権を放棄し施設に入院させる権利を保障した架空の法律があるということ。その設定化でダイアンは時に理解しあい、時に反発しあいながらスティーブを育てているのですが。やはりうまくいかないこともしばしば。また隣に住む心に傷を負った吃音の女性教師カイラもこの親子と深くかかわりを持つようになります。3人は絶妙のバランスを保ちながらなかなかユーモラスに自由に毎日を謳歌します。でも人生っていい時はいい。悪い時は悪い。現実でもそうですが、この映画の中ではそのいい時と悪い時が顕著に描かれていて、この親子の人生の悪い時を見ていると本当に心臓が抉られそうに苦しくなるんですよね。誰も悪くないのに歯車が狂う。そんな時って生きてると何度もあるけれど、理不尽な中にもキラキラした希望が垣間見えたり、救いがあったり。とにかく多面的な視点を持って鑑賞できる映画だと思います。

 

 

第1位.グザヴィエ・ドラン「トム・アット・ザ・ファーム」

グザヴィエ・ドラン「トム・アット・ザ・ファーム」がおすすめの理由

この作品はサスペンス映画と呼んでも差し障りないくらい怖かったです。グザヴィエ・ドランがこの作品の監督&主演をしたのは25歳の時。自分の中ではやっぱりこの人の造る世界観好きだなと再確認した作品。ストーリーは死んだ恋人の実家を訪ねたグザヴィエ・ドラン演じる主人公トムが、彼氏の兄にあたるフランシスに、女性の恋人がいると信じている母親のために、恋人ではなく友人を演じたままこの家にいろと暴力的な支配を受けてその家に閉じ込められるというもの。全編を通して肌のヒリヒリするような不安感を煽り立てる演出と恋人家族の醸し出す不気味さ、そしてトムの感情の起伏が見事に描かれていて、見る者の心をがっちりとらえて放しません。トムとフランシスの関係は一方的なように見えるんですけど、トムの方も途中その関係を受け入れてしまうようなところがあるんですよね。人間の感情がどれほど捉えどころがなく、コントロールが効かず、一筋縄ではいかないものだと思い知らされたような気がしました。また恋人への愛と彼の家族という関係が密接に結びついていることから、拒絶しきれないトムの想いも理解できるのですが、途中からはもう『早くこの世界から逃げ出して~!』と見ているこちらも窒息寸前。スクリーンに向かって叫びたくなる映画でした。

 

 

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