ベルナルド・ベルトルッチ監督おすすめの映画ランキングTOP5

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ベルナルド・ベルトルッチ監督おすすめの映画ランキングTOP5

ベルナルド・ベルトルッチの映画が大好きなのは、どの作品でも、映像が本当に美しくて、繊細で、官能的で、独創的だからです。名匠ヴィットリオ・ストラーロとのコンビで描く表現力豊かな映像美に、毎回、うっとりしてしまいます。そして異国や異人種間の関係をテーマにしているところも、エキゾチックで刺激的です。

 

 

第5位.ベルナルド・ベルトルッチ「ドリーマーズ」

ベルナルド・ベルトルッチ「ドリーマーズ」がおすすめの理由

パリが舞台の、若くてとても純粋なフランス人の美しい双子の姉弟と、彼らの世界に惹きつけられたアメリカ人青年についての、なんとも切ないストーリーです。この3人が美男美女で、映像がきれいなことから「おしゃれ映画」のような軽い扱いを受けているのが信じられません。実はとても深くて切ない、見ごたえのある作品です。双子の姉弟は、近親相姦的に相思相愛で強いきずなで結ばれているのですが、完全に二人だけの世界で生きており、その世界は純粋で美しいのですが、理想主義が行き過ぎています。教養があって洗練されているのに、同時にクレイジーで、野蛮で刹那的で、二人の世界は完璧な、いわば異世界であり、アメリカ人青年が、その世界に入りたいのに入れなくて切ない、そして二人も、二人だけの閉塞的な世界から出ていけなくて悲しいという、美しくて哀愁に満ちた作品です。若いというのは、とても悲しいことなんだなと、若さについて考えさせられます。

 

 

第4位.ベルナルド・ベルトルッチ「暗殺の森」

ベルナルド・ベルトルッチ「暗殺の森」がおすすめの理由

第2次世界大戦前夜のヨーロッパで、トラウマを抱えた青年が暗殺者へと変わっていく、政治と哲学がテーマの作品ですが、この映画を完全に支配しているのは、ドミニク・サンダの美しさだと思います。ベルトルッチの映画はほとんどいつも、男性・女性の両方から見て、美しくて魅力的な女性が出てくるところが嬉しいです。この作品でのドミニク・サンダは、冷たくて、それでいて妖艶で、中性的で、何を考えているのか分からないところが、神秘的で惹きつけられます。この映画の、とても有名な女性二人のダンスシーンは、やはり大きな見どころです。ドミニク演じる金髪のアンナと、新妻の黒髪のジュリア、容姿と内面の両方が非常に対照的な二人が、スタイリッシュなドレスを着てダンス・ホールでタンゴを躍るのですが、優雅で、ミステリアスで、ため息が出るほど美しくて、強烈に印象に残ります。ドミニク・サンダの美しさに魅せられるための映画と言っても過言ではないと思います。

 

 

第3位.ベルナルド・ベルトルッチ「シャンドライの恋」

ベルナルド・ベルトルッチ「シャンドライの恋」がおすすめの理由

政治活動をする夫が逮捕されてしまったアフリカ系の美しい女性シャンドライが、ローマに移って、イギリス人の音楽家キンスキーの屋敷に住み込むという、国際的で変わった設定に惹かれました。登場人物はほぼこの二人だけ、というのがシンプルで面白いです。キンスキーは無口なので、二人はほとんど言葉を交わさないけれど、静かに、ほのかに、少しずつお互いに影響を与え合っていく過程が、官能的でとてもドキドキします。基本的にはずっと、二人のしぐさや目線などを繊細に追っていくだけのカメラワークで、派手さはまったくないのに、緊張感があります。キンスキーの繊細なピアノの音色と、シャンドライが好きなワイルドなアフリカの音楽の対比が新鮮です。家の中の、螺旋階段や洗濯物といった、ちょっとしたものがとても美しく撮られていて、想像力が掻き立てられます。曖昧でミステリアスな終わり方がとても印象に残ります。見終わった後も、シャンドライの温もりがいつまでも感じられるようです。

 

 

第2位.ベルナルド・ベルトルッチ「魅せられて」

ベルナルド・ベルトルッチ「魅せられて」がおすすめの理由

リヴ・タイラーがこの作品で注目されてスターになり、大きな話題になりました。この作品の素晴らしさは、ずばり、リヴのうっとりするような美しさとみずみずしさを堪能できるところです。リヴが演じるアメリカ人の美女ルーシーが、母親が自殺した後、自分の出生の秘密を明らかにするためにイタリアのトスカーナを訪れる、という設定が新鮮です。トスカーナでの、美味しいものを食べる、じっくり会話をする、裸になって自然を楽しむ、愛し合う、といったことを満喫するイタリアらしい日々が、なんともセンシュアルで、うっとりしてしまいます。最初から最後まで、ルーシーに寄り添うようなカメラワークで、ルーシーの体温が伝わってきそうなほど近くに感じられるので、移り変わっていくルーシーの気持ちに、誰でも深く共感すると思います。ルーシーとアレックスが男女と年齢の壁を超えた友情を築いていくところが、うらやましいほど素敵です。そして全編、映像の雰囲気に合った、印象的な曲が使われているのに感動しました。

 

 

第1位.ベルナルド・ベルトルッチ「ラスト・エンペラー」

ベルナルド・ベルトルッチ「ラスト・エンペラー」がおすすめの理由

アカデミー賞で作品賞、監督賞、撮影賞など、とてもたくさんの賞を受賞した名作です。清朝最後の皇帝で、のちに満州の皇帝となった愛新覚羅溥儀の生まれてから亡くなるまでの波乱万丈の生涯を描いた、実話に基づいたストーリーなのですが、とにかく色彩と映像の美しさが圧巻です。中国の故宮が、イタリア人によって撮られると、こんなにも華やかで官能的でミステリアスに映るということに驚きました。そして、皇帝時代の赤やゴールドをメインにした華やかな色彩と、政治犯刑務所での重苦しくて寒々しいグレー調の色彩の対比が見事でした。主役を演じたジョン・ローンは、皇帝らしい気品と憂いが感じられて、役にぴったりだと思います。そしてこの作品でいちばん素晴らしいのは、アカデミー賞の作曲賞を受賞した、坂本龍一による音楽です。テーマ曲は本当に、力強くて、哀愁があり、一度聴いただけで心に響いて、一生忘れられません。オリジナル版は3時間以上で長いですが、まったく長さを感じさせません。非常に見ごたえのある、名作中の名作です。

 

 

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