中島哲也監督おすすめの映画ランキングTOP5

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中島哲也監督おすすめの映画ランキングTOP5

CM出身の監督だけあり、ワンシーンの画の強さ、インパクトを作るのが上手いです。 特に人物と背景を組み合わせて映し出す情感たっぷりの画づくりは、 「時計仕掛けのオレンジ」のスタンリー・キューブリックを彷彿とさせるセンスが光っています。 人間のふるまいやセリフから垣間見せる、香りが漂ってきそうなほどの生々しさ。 そのすぐ隣に、アニメーションやスローモーションの演出による極めてフィクショナルなシーンを 並列させてしまうセンスに脱帽です。ここが観る人によって好き嫌いが分かれる最大の理由だと思います。 生臭いほどの有機と作り物感たっぷりの無機が同居する違和感に、私は心を掴まれてしまいます。 無邪気の裏側に潜む恐ろしいほどの邪悪。惨たらしいほどに汚れきった人間の瞳に宿る希望の光。 そんな矛盾するような風景を、中島監督は残酷なまでに描き出します。 そして何より、中島監督の作品の中には「非常識」が常に存在ます。 それは異常であり、おだやかに進むこの世界の日常に対して、劇薬のように働きかけ、 強いショックを与える刺激を生み出します。

 

 

第5位.中島哲也「下妻物語」

中島哲也「下妻物語」がおすすめの理由

人情深い女ヤンキーと、感情に乏しいロリータファッションの女の子。本来ならば全く相容れることのないであろう二人の存在が交差し、そこから物語が動き始めます。お互いに、自分にはない部分と自分にしかない部分を持っている二人は、それぞれの言動が理解できないこともありつつ、一方で二人とも刺激し合って、それぞれがともに成長していきます。また、とにかく最初から最後までテンポよく展開していき、くだらな過ぎて笑えるユーモアもふんだんに盛り込まれており、中島作品の中ではかなり観やすい仕上がりになっています。主演の土屋アンナさん、深田恭子さんだけでも豪華なキャストですが、脇役にも樹木希林さんや篠原涼子さんなどの豪華俳優陣。ここまで有名で、だからこそ使い方が難しい出演者たちを個性あふれるキャラクターを演じさせて描き切ってしまうところに、中島監督の映画監督としての地力の強さが窺えます。作品全体としては、とにかくすがすがしい青春ストーリーとして楽しめる一作として、海外からの評価も高い作品になっています。

 

 

第4位.中島哲也「嫌われ松子の一生」

中島哲也「嫌われ松子の一生」がおすすめの理由

こんなに辛い人生があるのか、というほどに不幸な一生を送った女性の物語です。あまりに不幸過ぎてリアリティはかなり薄く、あり得ないほどの不幸な偶然が重なります。しかしその度が過ぎているせいで、逆にリアルであり、人生とは何が起こるか分からないからこそ、こんなあり得ないほどの不幸もあり得るのではないかと思えるような、不思議な感覚が湧いてきます。時代背景を感じさせる楽曲などの演出や、中島監督らしいCGやアニメーション、突然のミュージカル風演出などにより、やはり一筋縄ではいかない作品に仕上がっています。現実的な風景に非現実的な演出を同居させる中島監督の狙いなのか、不幸のどん底にいるはずの主人公からは、なぜか人間の奥底に宿っている幸福が垣間見える瞬間があります。不幸なはずなのに羨ましく、醜いはずなのに美しい。そんな違和感こそがこの作品が持つ魅力なのかもしれません。だとするならば、なかなかこのような魅力を感じられる日本映画は数少なく、それだけでも貴重で価値の高い映画なのではないでしょうか。

 

 

第3位.中島哲也「来る」

来る

中島哲也「来る」がおすすめの理由

現在のところ、中島監督の最新作です。これまでの作品の中でも随一の豪華キャストが揃っています。登場人物たちはどこかにいそうで、でもやっぱりどこにもいないような、個性の強いキャラクターたちばかりです。役の設定としては、どこにでもいる夫婦を演じるのが妻夫木聡さんと黒木華さんなのですが、そこはやはり中島作品。どこにでもいるからこそ、どんな人にでもピンとくるようなイヤな一面や言動があからさまに描かれ、他の魅力的なキャラクターと完全に対照的な「一般人」として登場します。また、一見するとホラー映画の要素が強く、そのジャンルだけで敬遠してしまう人もいるかもしれませんが、それだけの理由で見ないのは勿体ないです。もちろん怖いシーンは出てきますが、いわゆる本気の「Jホラー」の怖さとは別物です。例えるならば、ガチの心霊スポットと遊園地のお化け屋敷くらいの差があります。どちらかというとエンターテイメントとして楽しめる作品になっています。ホラー要素すらもエンターテイメントを構成する要素として昇華させてしまうところに、中島監督の熟練の手腕が光っています。

 

 

第2位.中島哲也「告白」

中島哲也「告白」がおすすめの理由

中島監督の大出世作となったこの作品は、やはり主演の松たか子さんの演技なくしては語れません。教え子に娘を殺された女教師という難しい役どころを完璧に演じ切っています。決して悲劇のヒロインになるのではなく、かと言って復讐心に囚われた狂人になりきってしまうのではなく、そのどちらの面も垣間見せつつ、本心は深い深い心の奥底に沈んでぼんやりとしか見せないような人間像を、松たか子さん独特の演技で表現しています。なので、物語が進む中で、松たか子さん演じる女教師に少しずつ感情移入してしまうことがあっても、次の瞬間にはふらりと立ち回るその演技に裏切られ、全く掴みどころのないような感覚を味わいます。また、これは中島監督の作品に一貫して存在するテーマですが、「子どもの恐ろしさ」が露骨なまでに描かれています。もともと原作がそのような設定だということもありますが、そこに中島監督の容赦ない描写が加わることによって、過激なまでに醜く、脱帽するほどに憎たらしい子どもたちの姿が描かれ、その姿には恐怖すら抱いてしまいます。中学生たちが教室で踊っているシーンや、突如挿入されるAKB48の楽曲。純粋無垢な包装紙に包まれた邪悪の塊を、中島監督は小気味よく描き出していきます。

 

 

第1位.中島哲也「渇き」

中島哲也「渇き」がおすすめの理由

あらゆる非常識を描き出す中島監督の、ある意味最高傑作だと思います。興行的にはとてもじゃないが成功とはいえない結果だったようですが、それでもこの作品なくして中島監督は語れないのではないでしょうか? 主演を務める役所広司さんの、いつものダンディさはどこかへ吹き飛んでしまったような、見事なまでに汚れきった中年男性の主人公が強烈な印象を与えます。その印象のショックから立ち直れないまま、物語はどんどん進行していきます。暴力的で行動力に溢れた主人公は、周りを巻き込んだり煙たがられたり、あるいは周りから罵倒されたり嘲笑われたりしながら、常に苛立ちをたっぷり噛みしめたまま、疾走した娘を捜し続けます。最終的に娘の疾走の原因が見えてきますが、物語終盤ではもはや娘の行く先などどうでもよくなったのか、ただただ暴走を続けて泊まることができなくなった列車のように、あらぬ方向へと物語は進んでいきます。尽きることのない欲望、満たされることのない渇きに突き動かされる主人公と一緒に、観ている人もまた物語の最後まで一気に吹き飛ばされるようなカタルシスがこの作品の最大の魅力です。

 

 

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