深作欣二監督おすすめの映画ランキングTOP5

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深作欣二監督おすすめの映画ランキングTOP5

昭和~平成にかけて、ヤクザもの、アクション、時代劇、SF、文芸と幅広いジャンルの映画を手掛けた鬼才。どのジャンルの作品も“生きる”エネルギーに満ちていて、“反骨精神”“反体制”を体現したようなキャラクターを鋭く描いた作品が多いのが魅力だと思う。深作監督は1930年生まれで、戦争を知りながら戦争に行かなかった(徴兵を免れた)世代だというが、重いテーマを描いていても、内省的な暗い印象にならないのが不思議である。深作監督の描く、逆境にあっても必死に生きる人々は、鑑賞する者にまで生きるエネルギーを与えるパワーがあると思う。晩年まで傑作をとり続けたところも稀有な監督で、老年になっても感性が“若いまま”だったのではないかと思う。

 

 

第5位.深作欣二「いつかギラギラする日」

深作欣二「いつかギラギラする日」がおすすめの理由

現金輸送車を襲った4人の男たち。綿密にたてられた計画だったはずだが、その中の1人が予想外の裏切り行動にでる…。仲間割れしたギャングに忍び寄る警察…。三つ巴の死闘を制するのは一体誰か??深作監督が1992年に久しぶりに撮ったというアクション映画。公開当時、興行的にあたらなかったというのが信じられないくらい面白い。萩原健一、木村一八、千葉真一、荻野目慶子、石橋蓮司…という「アウトレイジ」も真っ青な“全員悪人”のキャストが集結している。本作の見どころは、ショーケン演じる中年ギャングVS木村一八演じる無謀な若者の、ジェネレーション対決。両者とも「社会のはみ出し者」であることは間違いない。だが“中年”“生き残り”のショーケンがみせる独特の美学というか、”これでしか生きられない”というならず者っぷりがカッコいいのだ。どれだけ追い詰められてもあきらめない姿はなぜか眩しくうつる。ラストのカーチェイスシーンは必見。パトカーに追い詰められるアクションは幾多あれども、まさかパトカーの“上”を走ってでも逃げ切ろうとするカーチェイスはそうそうみられるものではないだろう。

 

 

第4位.深作欣二「魔界転生」

深作欣二「魔界転生」がおすすめの理由

山田風太郎の原作作品を映画化。島原の乱で殉死したはずの天草四郎時貞が転生し、この世に未練を残したものたちを次々に蘇らせ、ときの幕府を転覆させようとする。そこに剣豪・柳生十兵衛が立ち上がった…!妖艶で美しい天草四郎役のジュリー(沢田研二)も魅力的だが、本作の見どころはなんといっても、十兵衛(千葉真一)に立ちはだかる剣豪たちとの夢の対決だと思う。中でも若山富三郎演じる柳生但馬守との殺陣シーンは素晴らしい。(若山富三郎は「すとすとぴっちゃん」じゃない方の初代子連れ狼の役者さんだが、大柄な体躯から想像もつかないほど俊敏で、運動神経抜群のアクションをする方なのだ。)CGもワイヤーもない中、“タテ”のできる役者がみせるアクションに惚れ惚れしてしまう。1歩間違えば、チープなゲテモノ作品になりそうなところを、昭和の大御所役者が結集、深作監督が見事に妖艶な世界を表現し、奇跡的な傑作異色時代劇になっていると思う。

 

 

第3位.深作欣二「蒲田行進曲」

深作欣二「蒲田行進曲」がおすすめの理由

時代劇全盛の頃のとある映画撮影所。名高い役者・倉岡銀四郎(銀ちゃん)は女優・小夏を妊娠させてしまうが、スキャンダルになることを嫌い、脇役兼付き人的存在であるヤスに、「自分の代わりに結婚して子供を育てるように」と命じる。銀四郎を崇めるあまり、承諾するヤス。はじめはヤスを拒んでいた小夏だったが、その優しさに次第に惹かれるように…。しかしそんな中、新作「新選組」のクライマックスにて、高さ十数メートルの階段から斬られて転げ落ちるスタント“をヤスが演じるようにとの話がもちあがる。命の危険を伴うスタント…。そして男女3人の恋の行方は…。つかこうへいの有名な戯曲の映画化だが自分は原作を知らない。深作作品の登場人物の中では、一見するとヤスは受け身で、お人よしで、報われない存在である。大階段はヤスと銀ちゃんを隔てる“格差”“乗り越えがたい壁”でもある。しかしヤスもまた、深作映画の“ギラギラした主人公”の1人であり、苦しくても階段をのぼっていくのだ。昭和の映画撮影所の熱と空気がひしひしと伝わる、映画愛に溢れた作品。ラストはあまりにも有名で、現実とフィクションの間に置き去りにされたような感覚を味わわせてくれる。

 

 

第2位.深作欣二「仁義なき戦い 広島死闘編」

深作欣二「仁義なき戦い 広島死闘編」がおすすめの理由

任侠映画、ヤクザものというととにかく取っ付きにくいイメージが強いのではないか。「仁義なき戦い」と聞いてタイトルぐらいは知っている方が多いかもしれないが、シリーズが多すぎてみる気もしないという方もいるかもしれない。そんな人にお薦めしたいのがこの1作、「広島死闘編」(シリーズ2作目)である。なぜなら「広島死闘編」はこの1作で完結した、独立した作品ともいえるからだ。(そして番外編にして最高傑作でもある。)舞台は戦後まもない広島市。主人公は北大路欣也演じる山中と、千葉真一演じる大友の対照的な2人。偶然に翻弄されながら、ヤクザものの道を歩み、裏切られ、利用され、散っていく山中。若い頃の北大路欣也がハンサムで、ヤクザ者になってさえどこか一本気な不器用さを感じる。対する千葉真一演じる大友は、粗野で下品で暴力を体現したような男で、仁義のかけらもない。しかしどこか嫌いにも慣れない、「誰もいえないことを言ってくれる、そこにしびれる憧れる」的なところがある不思議なカリスマがある男でもある。誰もが生き抜くことに必死だったのであろう戦後の雰囲気が色濃く出た作品。任侠映画というジャンルを超えた傑青春映画だと思う。

 

 

第1位.深作欣二「バトル・ロワイヤル」

深作欣二「バトル・ロワイヤル」がおすすめの理由

2000年に公開され、大ヒットした深作監督の代表作ともなった作品。学級崩壊や家庭崩壊が増加し、大人たちが子供を管理するために施行されたBR法。中学3年生の1クラスが3日間、無人島で最後の1人になるまで殺し合うという、残虐なストーリー。原作小説のボリュームは相当なもので、「1クラス約40人の死を描かなければならない」にも関わらず、圧倒的テンポで2時間にまとめあげた深作監督の演出力。とても70歳のじいさんが撮ったとは思えない。藤原竜也、前田亜季、山本太郎、栗山千明、安藤政信…などなど平成を代表する役者がクラスメートを演じているが、圧倒的存在感は柴咲コウ演じる相馬光子。美しくも悲しい殺人マシーンと化した少女を演じている。各登場人物の出番が少ないのに、各々見せ場があり、単純に面白いし、青春映画としても堪能できる。原作では、「子供たちに殺し合いをさせる教師」的なポジションの役が明らかに「金八先生」を模した人物(武田鉄矢)で、原作を知っている人間からすると、「武田鉄矢でこの作品がみたかった」と思わなくもない。だが映画版のビートたけしも悪くなく、子供を理解したくても理解できない“寂しい大人”の役が不思議なくらいとてもよく似合っている。”子供は大人を信じられない。大人は子供を信じられない。”ここに作品のテーマを絞り込んだ深作監督の脚色の力。実質彼の遺作であるが、反体制のメッセージを込めた集大成ともいえる作品だと思う。本作で描かれたディストピア的未来はもう十分“今”になっているようで悲しい。

 

 

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