ポール・トーマス・アンダーソン監督おすすめの映画ランキングTOP5

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ポール・トーマス・アンダーソン監督おすすめの映画ランキングTOP5

とにかく登場人物の心理描写が深くて丁寧。さらに映像の作り方も繊細で美しく、一つの映画として多面的な面白さがあります。アンダーソン監督独自の世界観に敬意を表する俳優も多く、ホアキン・フェニックス、ダニエル・デル・ルイス、フィリップ・シーモア・ホフマンなど、これまでの作品には素晴らしい俳優が名を連ねているのも魅力的です。

 

 

第5位.ポール・トーマス・アンダーソン「マグノリア」

ポール・トーマス・アンダーソン「マグノリア」がおすすめの理由

アンダーソン監督の初期の傑作。ポール・トマス・アンダーソン(以下PTA)と言えば群像劇といわれるほど、一つの物語のなかに複数の人物が登場し、それぞれの人生模様が精緻に描かれていくという手腕は、アメリカ映画のなかでもPTAをおいて他にいないほど、高く評価されるべきものです。この映画もまた総勢で言うと10名以上もの人々の人生、それぞれの人生を必死に生きながらも、別の人物と緩やかにつながっていく様が描かれています。ある者は警察官として真面目に職務を遂行し、別のあるものは病床の床にあり、その彼を誠実に看護する女性が現れたかと思うと、人気クイズ番組で注目を集める有名子役タレントや、女性の口説き方をもてない男性に伝授するカリスマインストラクターが登場します。一人一人の人物造形が秀逸で、それぞれが自分自身の野望や限界や偶然のなかで生きていることがわかるし、登場人物の誰かには必ず共感することができるかと思います。このような複雑な人間模様を一つの群像劇として仕上げた監督の手腕に脱帽です。

 

 

第4位.ポール・トーマス・アンダーソン「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」

ポール・トーマス・アンダーソン「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」がおすすめの理由

社会や歴史、時代状況という観点からすると、ポール・トマス・アンダーソン(以下PTA)の映画には、時代設定が特定されるものの、その時代の政治や社会の出来事が直接には取り扱われないような傾向にあります。正確に言えば、PTAは、それぞれの時代の画期的な事件によってある時代を描こうとするよりも、そこに生きた人びとの心理や生き様を通して、時代精神というものを浮かび上がらそうとしていると言えます。だからこそ群像劇の手法が彼に適していたわけですが、「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」は、彼の作品にしては珍しく20世紀初頭のアメリカという時代設定や社会状況が物語に色濃く反映した作品だと言えます。それだけにPTAが歴史や社会を描く際、どのようなアプローチをするのかという関心から観ることのできる映画です。物語は20世紀初頭のアメリカ、石油ビジネスによって富を築こうという野心を持つ男を軸に展開します。富や権力を夢見た男の破滅的な人生をダニエル・デル・ルイスが演じており、彼がどのようにこの時代を生きる一人の男を演じ切るかという観点からも興味深く観られる作品です。

 

 

第3位.ポール・トーマス・アンダーソン「ザ・マスター」

ポール・トーマス・アンダーソン「ザ・マスター」がおすすめの理由

これは、新興宗教の開祖としてカリスマ的な地位にある一人の男と、彼に惹きつけられるもう一人の男——自身は兵士として従軍し、戦争体験のトラウマを持つ——のあいだの物語です。この映画ではまず、新興宗教のカリスマ的指導者が主人公であるという設定自体、興味をひきつけるもので、新興宗教のなかの人間関係が詳しく描かれることで、物語に深みを与えています。この映画の時代背景として、アメリカが日本との戦争を終えたばかりの1950年代が設定されており、この戦争が日本だけでなくアメリカにも様々な影響を与えていたことがわかります。戦争のトラウマを抱える人びとが数多く存在し、そうした人びとの拠り所として新興宗教が発展したことや、逆にこれらの新興宗教自身も戦争で傷ついた人びとを必要としていた、という両者の関係が丁寧に表現されています。さらにこの映画での注目は二人の男たちの深い深い心理劇です。アンダーソン監督が得意とする群像劇の手法こそ用いられませんが、野心や欲望、忠誠や信仰といったテーマに関して、人間の心理を突き詰めていく彼がそれまでに培った手法が十全に用いられています。二人を演じる、フィリップ・シーモア・ホフマンとホアキン・フェニックスの演技は圧巻です。

 

 

第2位.ポール・トーマス・アンダーソン「ファントム・スレッド」

ポール・トーマス・アンダーソン「ファントム・スレッド」がおすすめの理由

「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」にも出演したダニエル・デル・ルイスの引退作と銘打たれたことからも話題となった本作ですが、まさに彼がこれまでのキャリアで培った演技力と、円熟期に入ったポール・トマス・アンダーソン(以下、PTA)監督の技量がぶつかりあう怪作と言えます。物語は1950年代ロンドンの服飾業界を舞台に、天才的な腕前を持つデザイナーと、彼にモデルとして見出された一人の女性を軸に展開します。このことからも、PTAが初期の群像劇の手法から、一対一の人間関係のなかの深い心理劇に興味を移したとがわかります。物語の序盤こそ絶対的な権力を持つデザイナーの男と、彼に従順に従う女の関係が描かれますが、そのままでは終わらないのがこの監督のすごいところ。年齢や社会的地位にどれほど差があろうとも、人と人との関係には一対一になった瞬間に別の力学が生まれ、別のルールが存在することが鮮やかに描き出されています。こうした心理劇に、服飾業界ならではの美しい色彩があり、更に音楽の素晴らしさが加わり、一つの映画作品として驚くほどのクオリティを達成しています。

 

 

第1位.ポール・トーマス・アンダーソン「パンチドランク・ラブ」

ポール・トーマス・アンダーソン「パンチドランク・ラブ」がおすすめの理由

ポール・トマス・アンダーソン監督の映画を初めて見るなら、絶対におすすめの作品です。他の映画にはアメリカの石油産業や新興宗教など、比較的重たいテーマの物語が多いですが、これは風変わりな二人のロマンティック・ラブというラブストーリーの王道ともいえる筋をもった作品です。けれども、やはりこの映画を典型的なラブ・ストーリーにしないのは、この監督が決して期待を裏切らないところ。まず、登場人物の風変わりさがすごい。主人公の男は怒りのコントロールができないヒステリックな側面があり、スーパーで買うお菓子についてくるポイントを集めることを趣味としています。対する女性も、そんな彼に惹きつけられるというから変わり者。思わずくすっと笑ってしまうような二人のやりとりに、癒されたり、人間関係とは奥深いものだなと納得させられます。それに加えて、何といってもこの映画の見どころは、映像が美しい。鮮やかな色彩や整えられた構図、一つ一つのシーンを絵画のようにみることができます。一つ一つの場面が考え抜かれて撮られていることがわかり、この点からもこの監督の才能に驚嘆です。

 

 

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