ウォン・カーウァイ監督おすすめの映画ランキングTOP5
言わずと知れたアジア映画界の巨匠。映画好きなら一度は名前を聞いたことがあるのではないでしょうか。私も例にもれず「一度は観ておくか」ぐらいの気持ちで作品を見始めたのですが、監督の美意識がちりばめられた世界観と独特の映像美にすっかり魅せられてしまい、それ以来監督が撮る作品のファンです。正直なところ彼の撮る作品は内容が難解なものも多く、観終わったあとも「結局なんだったんだろう?」と頭をひねることもしばしば。ですが、わからないなりに作中の詩的なセリフや叙情的な演出から毎度伝わってくるものがあり、何度も観てしまう不思議な魅力を持つ作品が多いです。
第5位.ウォン・カーウァイ「いますぐ抱きしめたい」
ウォン・カーウァイ「いますぐ抱きしめたい」がおすすめの理由
ウォン・カーウァイ監督の初期作品。香港を舞台に無軌道な生活を送る青年と彼のもとにやってきたヒロインの恋愛を軸に、彼らの日常とそれが壊れていく様を描いています。初期の作品ということもあってか、まだ独特の映像や音楽の演出は少なくあっさり目。また、若者の恋愛をメインに据えたストーリーもシンプルで、抽象的な表現もまだ他の作品と比較してあまりありません。なのでウォン・カーウァイ監督らしい映画が観たい!と思っている人や、監督の作品が大好きな人には薄味すぎて物足りないであろう作品かもしれません。しかしその分観ていて感情移入しやすくオチも理解しやすい、言ってみればとっつきやすい作品となっており、実はウォン・カーウァイ作品の初心者にはおすすめの一作です。いい意味で軽めの作品なんですね。ですが軽めといってもそこはウォン・カーウァイ監督の映画、印象的な小道具の使い方やカメラワーク、独特の色使いなど後の作品を彷彿とさせるところも所々にあり、監督の作品に慣れてから観るとニヤリとさせられる所もあります。監督の作品を何作か観たことがあってまだ「今すぐ抱きしめたい」を未見の人は「ウォン・カーウァイ監督作品らしさを探す」ようなマニアックな楽しみ方をしてもいいかもしれません。古い作品で視聴方法が限られるのかもしれないのが難点ですが、シンプルさの中にウォン・カーウァイ作品らしさがちりばめられた良作なので機会があれば観て欲しい一作です。
第4位.ウォン・カーウァイ「ブエノスアイレス」
ウォン・カーウァイ「ブエノスアイレス」がおすすめの理由
ウォン・カーウァイ監督の作品で一番知っている人が多いのでは?と思われるのがこの「ブエノスアイレス」。今は亡き名優レスリー・チャンとアジアを代表する俳優トニー・レオンが倦怠期の恋人同士として南米を旅する本作は、カンヌ国際映画祭受賞作品でもあり非常に有名な作品です。見どころは何と言っても南米の異国情緒あふれる風景とそれを背景に繰り広げられる二人の恋愛模様。といっても主人公の二人の関係はとんでもなく煮詰まっており、あまり見ていて楽しいものではありません。二人の南米での道行きも自分だったら経験したくないなぁと思うものばかり。しかし観終わったあとはなぜか気分が良く、もう一度観たい気分になっている。そんな不思議な映画です。カーウァイ監督は人間関係のグダグダをどこかロマンティックに、愛すべきものとして描くのが上手いような気がします。誰かと一緒に盛り上がりながら観る映画ではありませんが、休日の夜一人でしんみり恋愛のヒリヒリする部分を楽しみたい時におすすめしたい映画です。
第3位.ウォン・カーウァイ「欲望の翼」
ウォン・カーウァイ「欲望の翼」がおすすめの理由
複雑な家庭環境で育ち根無し草のように生きる主人公ヨディと、彼を取り巻く人々が織りなす人間関係を描いた名作。レスリー・チャン、マギー・チャン、カリーナ・ラウなど、「最初で最後」といわれたほどの豪華キャストがよく取り沙汰される作品ですので、知っている人も多いかもしれません。ヨディを演じるレスリー・チャンを中心に次々に登場する豪華な俳優陣の演技を見ているだけでも楽しめるのですが、私が真におすすめしたいのはこの映画にパンパンに詰まった「ウォン・カーウァイ監督らしさ」。映像、音楽、演出と作品全体に監督の美意識がガッチリ反映されていおり、観ればウォン・カーウァイワールドに間違いなくどっぷり浸ることができる作品です。中でも「足のない鳥」や「一分間の友達」など随所に登場する詩的でセンスの良いセリフ回しが独特の美しい映像と組み合わさる様は一度観ておいて損はありません。
良くも悪くもウォン・カーウァイ監督の美意識が全面に出た作品。カーウァイ監督の映画に興味を持った人にはぜひ一度観て欲しい作品です。
第2位.ウォン・カーウァイ「花様年華」
ウォン・カーウァイ「花様年華」がおすすめの理由
60年代香港を舞台にした不倫がテーマの本作。お互いのパートナーが不倫関係にあることに気づいた男女が急接近する、あらすじだけ見ると昼ドラか?と思ってしまう作品ですが、ウォン・カーウァイ監督ならではの叙情的な演出手法で大人のラブストーリーに仕上がっており、意外にもさらっと観ることができる作品です。そんな本作のシックでビターな雰囲気をさらに盛り上げているのがハイセンスな衣装や小道具類。ヒロインが纏うチャイナドレスをはじめ、作品に次々登場するレトロでおしゃれな衣装や小道具類は思わず実際手にしてみたくなるものばかり。ウォン・カーウァイ監督作品に登場する衣装や小道具は監督の美意識に合わせて美しいものが多いのですが、花様年華はダントツでおしゃれな衣装や小道具類が登場する作品のように思います。物語の結末自体はハッピーエンドともバッドエンドともとれるある意味ウォン・カーウァイ監督作品らしい結末で賛否は別れそうですが、絵面のおしゃれさは天下一品ですのでそれだけでも観てほしい作品です。
第1位.ウォン・カーウァイ「グランドマスター」
ウォン・カーウァイ「グランドマスター」がおすすめの理由
20世紀初頭の中国武術界を舞台にした作品。トニー・レオン、チャン・ツイィーら豪華キャストが武術の達人を演じています。武術を通じて時代や人の感情のうつろいを描くストーリーはやや哲学的で少しとっつきにくく感じるかもしれませんが、登場する武術家たちの美しい所作や四季の美しい情景、豪華で洗練されたセットや衣装などをうっとり眺めるだけでも楽しめる作品です。もちろん一番のみどころは豪華な出演陣による華麗なカンフーアクションなのですが、特に観てほしいのは彼らが手合わせをするシーンの見事な演出。中でも序盤の豪雨の中での闘いとクライマックスの雪の中での決闘は、武術の決闘シーンでありながら美しささえ漂っており絶対に観て欲しいシーンです。一度目は豪華なキャストによる美しいカンフーや洗練された映像を楽しみ、二度目以降はそれらに込められている意味を色々と考えて楽しんで欲しい、そんな「噛めば噛むほど味がでる」ウォン・カーウァイ監督作品らしい映画です。
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