ピーター・ジャクソン監督おすすめの映画ランキングTOP5
血みどろスプラッタ映画でデビューし、作品を発表するごとにそのテンションを上げまくったことで熱狂的なファンを獲得した監督が、まさかその後アカデミー賞を席巻することになるとは夢にも思いませんでした。タランティーノと並び、世界中の全てのマイナー映画ファン、マイナー映画製作者たちに勇気を与えた最強の「映画オタク」だと思います。
第5位.ピーター・ジャクソン「ミート・ザ・フィーブルス/怒りのヒポポタマス」
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ピーター・ジャクソン「ミート・ザ・フィーブルス/怒りのヒポポタマス」がおすすめの理由
ピーター・ジャクソンの「初期スプラッタ3部作」の2作目にして、マペットによる人形劇ミュージカルでありスプラッタ映画でもあるという奇想天外な作品です。生身の人間が演じる役柄はなく、可愛らしい動物の着ぐるみや人形が映画の登場人物になります。その可愛らしい人形たちが下品で血まみれな物語を綴るという、もの凄く下品で罰当たりなセサミ・ストリートだと想像するといいかもしれません。ミュージカル仕立ての舞台劇だけでなく、ナイフ投げなどの見世物や奇術を盛り込んだ総合エンターテイメント劇団「フィーブルス」を巡る騒動を描き出すのですが、クライマックスでは劇団の花形だったピンクのカバの歌姫が、愛人関係だった劇団の興行主に裏切られ、キレたあげくにマシンガンで無差別大量殺戮を始めます。楽屋やステージ裏だけでなく、ステージに登って客席にまで銃弾を撃ちこむ姿は凄まじく、人形にわざわざ弾着を仕込んで血が吹き出る映像を作り上げた執念には頭が下がります。ちょっと他に類を見ない、血まみれ人形劇という「特異なジャンルの映画」を作り上げた手腕は賞賛に値すると言っていいでしょう。
第4位.ピーター・ジャクソン「乙女の祈り」
ピーター・ジャクソン「乙女の祈り」がおすすめの理由
それまで血まみれスプラッタ映画ばかりを作ってきたピーター・ジャクソンが180度方向転換、故郷のニュージーランドで1950年代に実際に起きた事件を基に製作した、10代の少女2人の揺れ動く心を見事に描いた作品です。ピーター・ジャクソンが書いた脚本はアカデミー脚本賞にもノミネートされ、またのちに「タイタニック」でレオナルド・ディカプリオの相手役となるケイト・ウィンスレットが、本作で映画デビューを飾っています。女子高に通う内気で夢見がちな少女ポーリーンが、転校生のジュリエットと出会い、仲良くなった2人やがて、共に作り上げた2人だけの空想の世界に入り浸るようになります。周囲の大人たちはそんな2人を見てレズビアンではないかと疑い始め、2人の仲を強引に引き離そうとします。これに抵抗しようとして、2人が考えた計画とは・・・という、少女たちのあまりに純粋な想いゆえに起きてしまった悲劇が胸を打ちます。ピーター・ジャクソンが、派手な血まみれ描写だけに留まらない、「確かな演出力」を見せ付けた作品です。
第3位.ピーター・ジャクソン「キング・コング」
ピーター・ジャクソン「キング・コング」がおすすめの理由
「ロード・オブ・ザ・リング」3部作で一躍「名匠」の仲間入りをしたピーター・ジャクソンが、小さい頃からの夢だった「キング・コングの映画化」を実現させた作品です。最新のCGを駆使したキング・コングと、スカル・アイランドに住む巨大な恐竜との戦いは見どころ満点、興奮ものです。また、島へやって来た人々を襲う気色悪い虫や食虫植物などの描写もピーター・ジャクソンらしいおどろおどろしさを見せてくれます。ヒロイン役のナオミ・ワッツが「コングに愛された女」を好演、終盤の「スケートシーン」は見る者の胸を和ませてくれます。3時間というランニングタイムはやや長く感じるかもしれませんが、スカル島へ行ってからのスペクタクルは怪獣恐竜好きにはたまらないものがあります、ピーター・ジャクソンも作ってて楽しかったんじゃないかなと思うくらいに。子供の頃にそんな巨大怪獣のぶつかりあいを夢見ていた方々には、絶対に見て損はないと言える大作です。
第2位.ピーター・ジャクソン「ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還」
ピーター・ジャクソン「ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還」がおすすめの理由
処女作「バッド・テイスト」を、仕事をしながら週末に仲間を集めて4年の歳月をかけて少しずつ撮影したという執念の映画好きオタクが、遂にジェームズ・キャメロンの如く「キング・オブ・ザ・ワールド!」と叫びたくなるような栄冠を手にした、まさにアメリカン・ドリームと言えるような成功を収めた傑作です。誰も成し得なかったトールキンの原作を見事に映像化しただけでなく、映画として成立させるために切るべきところはバッサリ切り、こだわるところはとことんこだわりまくって作り上げた、壮大なる「中つ国の物語」の完結編。指輪を捨ててからが長いという指摘もありますが、私は全くそうは感じませんでした。目を覚ましてからのフロドとサムの再会、晴れて王となったアラゴルンの戴冠式で、「小さな人々」の前にかしづく観衆・・・どのシーンも、涙なしには見られません。そしてこの壮大な物語の締めくくりが、ホビット村の小さな家の、小さなまあるい扉が閉まるところで終わるという、この見事さ。映画の神様が映画オタクにくれた、「ちょっとした奇跡」のような作品です。こんな映画、これから先見ることがあるだろうか?とすら思える、不朽の名作であり超大作だと言えるでしょう。
第1位.ピーター・ジャクソン「ブレインデッド」
ピーター・ジャクソン「ブレインデッド」がおすすめの理由
サム・ライミの「死霊のはらわた」から始まったスプラッタ映画ブームに止めを刺す、最強にして凶悪、そして爆笑必至の空前絶後の一大スプラッタカーニバル映画です。これやっちゃったらもうやることは残されていない!というほど好き放題やりまくったその結果が、血まみれ内臓出まくり悪ノリまくりのハイテンションエキサイティングムービーになりました。この映画があったからこそ、ピーター・ジャクソンもその後「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズ、キング・コングなどに集中出来たのではないかと思います。とにかく画面全体が真っ赤に染まるほど血みどろになるクライマックス数十分ですが、主人公の家の地下室で、間違って「動物用興奮剤」を与えられたゾンビたちが一斉に地中から飛び出すシーンの盛り上がりは演出的にも優れたものがあり、ピーター・ジャクソンの才能を感じさせます。ゾンビベビーの「公園デビュー」や、自らの意思を持ってはいずりまわる腸など、血みどろなのに笑っちゃう奇想天外な描写が詰まった、見る人を選ぶかもしれませんが一級の娯楽作であることは間違いありません。いつまでも語り継がれる、最高のスプラッタ映画でしょう。
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