フランソワ・オゾン監督おすすめの映画ランキングTOP5
フランソワ・オゾン氏はフランス・パリを拠点とする映画監督です。彼の作品には独特の美学となんとも言えないユーモアが流れているように思います。特にミュージカルは、唯一無二の魅力があるように思うのでとても好きです。
第5位.フランソワ・オゾン「17歳」
フランソワ・オゾン「17歳」がおすすめの理由
フランソワ・オゾン氏が2013年に完成させた長編フィルムです。主役として抜擢されたのは、フランスのファッション・モデルであるマリーヌ・ヴァクト氏です。彼女は、ルイ・ヴィトンやイヴ・サンローランなど世界的なラグジュアリー・ファッション・ブランドのミューズをつとめたことでも有名な人物です。そのはかなげで、しかし芯のある強い魅力が存分に堪能できる作品だと思います。特に彼女のウェーブのかかったロングヘアーがとても印象的で、フィルムの中でもその美しさがとても際立っていました。フランソワ・オゾン氏特有の「若さ」や「その若さの裏にある危うさ」がなんとも言えないムードで描かれている作品です。自分自身でもなぜだかわからないうちに、売春という犯罪に手を染めてしまう17歳の主人公イザベルと、そのイザベルの虜になってしまう男性たちの姿がとても詩的に描かれています。また、ラスト・シーンで登場するジョルジュという男性の妻の魅力も見所です。
第4位.フランソワ・オゾン「ふたりの5つの分かれ路」
フランソワ・オゾン「ふたりの5つの分かれ路」がおすすめの理由
フランソワ・オゾン氏がこの映画「ふたりの5つの分かれ路」を完成させたのは、2004年のことでした。この当時は、世界的にやや実験的なフィルムが流行していたように記憶しています。こちらのフィルムもそんなやや実験的な手法をとったものです。ストーリーはある夫婦が、離婚をしてしまうという悲しいシーンからスタートします。面白いことにこのフィルムでは、時間の流れが現実世界とは真逆になっています。つまりは、冒頭シーンでは離婚し、ラスト・シーンではなんと夫婦であったその男女ふたりが「出会う」というところでフィルムが終わるのです。ふたりが離婚という決断に至るまでに、いったいどのようなストーリーがあったのかを解き明かしていくようなフィルム構成になっています。ラスト・シーンは「出会い」の場面なのですが、私たちはこのふたりが将来離婚してしまうことをすでに知っています。とても美しく、けれどせつない気持ちにさせられる映画です。
第3位.フランソワ・オゾン「スイミング・プール」
フランソワ・オゾン「スイミング・プール」がおすすめの理由
2003年にフランソワ・オゾン氏が監督した長編フィルムです。フランソワ・オゾン・フィルムの中では、もっともミステリアスで謎の多いストーリーであると思います。登場する主なキャラクターは、年の離れたふたりの女性です。ひとりは、シャーロット・ランプリングが演じる「サラ・モートン」という女性です。彼女は、推理小説作家であるイギリス人という設定です。その彼女はスランプを克服するためにとある別荘にやってきます。その別荘の所有者は、出版社の社長である「ジョン」です。サラが仕事にはげんでいるところに、ジョンの娘と名乗るある少女がやってきます。彼女の名前は、「ジュリー」。リュディヴィーヌ・サニエが演じる、なまいきで魅力的な女性です。ストーリーはこのふたりの女性を軸として展開していきます。しかし、ラストに向かうまでに不可解なことが起き始めます。どこまでが現実でどこまでが虚構だったのか、いったい誰が存在していたのかがわからなくなってくるミステリアスで美しい作品です。
第2位.フランソワ・オゾン「8人の女たち」
フランソワ・オゾン「8人の女たち」がおすすめの理由
タイトル通り、登場するのは「8人の女たち」たちです。フランスを代表する大女優カトリーヌ・ドヌーヴをはじめ、妖艶な魅力を放つエマニュエル・ベアールや、フランソワ・オゾン・フィルムにはたびたび起用されるリュディヴィーヌ・サニエなど、女優たち8人が共演する作品です。もともとは、1960年代に上演されたロベール・トマ氏による戯曲でした。それを2002年にミュージカル・フィルムとしてアレンジしたのが、フランソワ・オゾン監督によるこの映画なのです。ストーリーは、密室で巻き起こる殺人事件を発端として、犯人捜しをするというミステリアスで単純明快なものなのですが、このフィルムの面白いところは、ポップでファニーなミュージカル仕立てになっているということです。なんと大御所女優、若手女優にかかわらずみなさん唄って、踊ります。その歌やダンスが、なんとも言えずにシュールでしかし愛らしくて、またドロドロとした女性同士の戦いのような心情も相まってとても魅力的です。
第1位.フランソワ・オゾン「焼け石に水」
フランソワ・オゾン「焼け石に水」がおすすめの理由
フランソワ・オゾン氏が2000年に完成させた長編映画です。ベースとなっているのは、ライナー・ヴェルナー・ファスビンダーというドイツの映画監督が未発表にしていた同名の戯曲原作だそうです。フランソワ・オゾン氏は、このライナー・ヴェルナー・ファスビンダー氏を敬愛しており、満を持して「焼け石に水」の映画化にこぎつけました。この「焼け石に水」は、私にとってははじめてのフランソワ・オゾン・フィルムでした。なんとも言えないシュールなストーリー展開に、まず度肝をぬかれました。そして、「フランツ」を演じているマリック・ジディや「アナ」役のリュディヴィーヌ・サニエをはじめとした、4人の役者たちの無表情なダンスと演技にも衝撃を受けました。特に4人がそろって横並びになり、踊っているシーンはとてもシュールで悲哀に満ちていて、とても面白くて忘れられません。ぜひ未発表の戯曲も読んでみたくなるような映画でした。コアな作品ですが、ぜひ観て頂きたい秀作です。
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