シドニー・ルメット監督おすすめの映画ランキングTOP5

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シドニー・ルメット監督おすすめの映画ランキングTOP5

小・中学校の頃、自分が映画を本格的に見始めた頃に、シドニー・ルメットが全盛期を迎えていたと言えることが、「ハマった」理由のひとつだと言えます。「セルピコ」や「十二人の怒れる男」など、TVの洋画劇場で見た作品も多かったですが、忘れがたい強烈なインパクトを残してくれました。アカデミー監督賞を受賞出来なかった偉大な監督の一人だと思います。

 

 

第5位.シドニー・ルメット「オリエント急行殺人事件」

シドニー・ルメット「オリエント急行殺人事件」がおすすめの理由

近年日本でもドラマ化され、ハリウッドでもリメイクされましたが、21世紀になっての相次ぐリメイクは、クリスティーの原作が有名だということはもちろんですけども、原作の「初映画化」である本作がいかに「優れた作品」であるかの証明でもあると思います。列車内のみという限定空間で、ポワロの取調べが会話のメインになる地味な設定の物語を、多才なカメラワークで2時間の尺を、そしてミステリーとしてのテイストも生かしたルメットの手腕は見事と言うしかありません。本作でアカデミー助演女優賞を受賞したイングリット・バーグマン始め、アンソニー・パーキンス、マイケル・ヨーク、ショーン・コネリー、バネッサ・レッドグレーブ、うら若きジャクリーン・ビセットなどなど、錚々たるメンバーが顔を揃えたいわゆる「オールスターキャスト」の映画ですが、役柄の重みが散漫することなく、例えば演じる役者さんの知名度で犯人を推測出来るような味気ないキャスティングや、登場時間の長さの違いも感じさせず、観客の興味を謎解きに引き寄せる会話術の演出も極めて巧みです。ミステリの映画化作品として、今でも「お手本」になっていると言えるのではないでしょうか。

 

 

第4位.シドニー・ルメット「ネットワーク」

シドニー・ルメット「ネットワーク」がおすすめの理由

ルメットがいわゆる「一見華やかに見えるTV界の裏側」を暴き出した問題作ですが、この作品も非常に高く評価され、アカデミー賞の主演男優・主演女優、助演女優賞を受賞と、主要演技部門をほぼ独占するほどでした。唯一受賞を逃した助演男優賞も、ノミネートはもちろんされていました。ウィリアム・ホールデン、フェイ・ダナウェイ、ロバート・デュバルなど70年代を代表する「演技派」が顔を揃え、決して派手なアクションがあるわけではないのですが、視聴率争いに躍起になるTV界の闇の部分を抉り出す展開は現代にも通じるものがあるのではないでしょうか。視聴率低下に悩むあまりノイローゼになったニュースキャスターが、生放送の番組中に自殺予告をしてしまい、それを冷血な女プロデューサーが視聴率アップのため利用する構図は、モラルのギリギリのラインに挑んだ作戦が功を奏するのか、それとも?という、一級のサスペンスにもなっています。ニュースキャスター役を演じたピーター・フィンチは本作が遺作となり、故人として初めてアカデミー賞を受賞した俳優になりました。

 

 

第3位.シドニー・ルメット「評決」

シドニー・ルメット「評決」がおすすめの理由

ポール・ニューマンが「かつてはやり手だったが、今は落ちぶれて酒に溺れる」ダメ弁護士を演じる名作です。かつてのやり手があるきっかけで落ちぶれて・・・というのは「よくあるパターン」ですが、ニューマンの渾身の演技が見る者を引き付けます。知り合いの弁護士から温情で回してもらった仕事で、病院側の不始末で被害を被った患者たちを実際に見た時、主人公の胸の奥に秘めていた「正義」にふつふつと火が灯る。豊富な資金をバックに「弁護士団」を組んで対抗する病院側に、手弁当・草の根作戦で立ち向かう主人公サイド。この対比が見事です。しかも、病院側との「示談」を拒んで裁判に持ち込んだだけに、裁判が不利な状況になると患者側から「示談にしておけば、お金はもらえたのに!」と言われてしまう四面楚歌な状況に。重要な証人も病院側の策略で証言が出来なくなり、勝利は絶望的かと思われた最終弁論で、主人公は陪審員の「心」に訴える。ラスト、呼び出し音の鳴り続ける電話を、じっと見つめたまま沈黙する主人公。そのまま暗転・・・という締めくくりは、映画史上に残る名ラストシーンだと思います。

 

 

第2位.シドニー・ルメット「十二人の怒れる男」

シドニー・ルメット「十二人の怒れる男」がおすすめの理由

いまや「アメリカの良心」を描いた作品として、教科書的な存在ともなっている作品ですが、しかし当たり前ではありますが、映画としての面白さも十二分に満ちています。もともと物語の舞台が陪審員室限定の舞台劇だったものを、カメラアングルなどを巧みに変えて、映画として見ても飽きさせない展開にしている見事さ。客観的に見てどう考えても有罪としか思えないのに、陪審員たちを見送る被疑者である少年の訴えるような目つきだけで、観客に「冤罪」をにおわせる上手さ。主人公が「何か納得いかない」という些細な理由で始めた1人きりの「反乱」が、やがて一人また一人と「無罪」側へ考えを改めていく胸をアツくするプロセス。最後は「個人的理由」で有罪を主張し続けてきたガンコ親父が遂に折れ、陪審員全員一致の「無罪判決」を勝ち取る。大事なことは、この無罪を勝ち取ることが、決して主人公の利益ではないこと。己の良心に従えるかどうか、それだけがポイントだったということ。普及の名作とは、こういう作品と言うのだろうなと思える傑作です。

 

 

第1位.シドニー・ルメット「狼たちの午後」

シドニー・ルメット「狼たちの午後」がおすすめの理由

実際に起きた銀行強盗事件を基に映画化された、緊迫感溢れる白熱のサスペンスアクションです。まだ若い、ギラギラしたアツさを感じる主演のアル・パチーノの魅力が全開、「スカー・フェイス」と並ぶ代表作のひとつではないでしょうか。大して計画を練らず銀行に押し入ったものの、金庫の金は輸送された後で、ほとんど残っていなかったという笑えない事実。おまけに警官隊に周囲を包囲され、万事休す・・・かと思いきや、その模様がリアルタイムでTV中継されたことで、強盗たちは時ならぬ「ヒーロー」となる。警官隊が代表する権力にたて突く存在として、TVの前という絶対的な安全圏にいる視聴者から支持を受けるのだ。パチーノの「抵抗の仕方」も次第にノってきて、人質との奇妙な「連帯感」も生まれ始め・・・そして、犯人側の要求を受け入れたかに見せて、警察側が用意した車に乗り込むパチーノたちを待ち受ける悲劇。サスペンスフルな展開の中にユーモアも交え、身震いするような緊張感みなぎるラストへなだれ込む、まごうことなき傑作です。

 

 

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