原田芳雄出演おすすめ映画ランキングTOP7

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原田芳雄出演おすすめ映画ランキングTOP7

人間の懐の深さ、味わい深さを表現できる俳優さんだったと思います。若いころの作品を見ても、スケールが大きいなと思いますが、中年以降の作品では、一見温和で目立たない中に、人生で積み上げてきた凄みを滲ませて、いつも感動させられました。残念ながら亡くなりましたが、とても心に残る俳優さんです。

 

 

第7位.「どついたるねん」(原田芳雄出演)

「どついたるねん」(原田芳雄出演)がおすすめの理由

再起不能と言われたボクサーの復活を描くボクシング映画。俳優赤井英和と監督阪本順治という、ともに当時の新人、のちの大物のデビュー作で、ずいぶん話題になりました。骨太ながら若さ溢れる作風で、苦境に立たされながらも調子よく復活に向かっていくボクサーの物語がテンポよく展開していきます。突っ走っていく赤井英和の何もこだわらない勢い任せの生き様と、それに文句を言いながらも心配してやまない相楽晴子のひたむきな愛情が心に残りました。原田芳雄は、赤井英和の復活のカギとなるコーチを演じています。若者たちのテンションの高い映画の中で、終始抑えた年長者の存在感を見せ、現役を退いた男の枯れた魅力を感じさせてくれました。全体に淡々としている中で、最後の試合を前に赤井英和を抱きしめる場面では、彼が密かに持ち続けていた熱い情熱を感じて、心に残る助演でした。

 

 

第6位.「大鹿村騒動記」(原田芳雄出演)

「大鹿村騒動記」(原田芳雄出演)がおすすめの理由

長野県の大鹿村で、ジビエ料理の店を営む男のもとに、かつて自分を裏切って駆け落ちした妻と親友が、妻が認知症になりかかった状態で帰ってくる。年に一度の村歌舞伎を前に巻き起こる騒動を描いた人間ドラマ。お年寄り率が高くなっていく地方の村で、人の流出や文化の維持といった問題を背景にしつつ、どうしても一筋縄でいかないいびつな人間関係の面白さを見せてくれる作品です。親友を裏切って駆け落ちしておきながら、彼女が認知症になったからってのうのうと帰ってくる岸部一徳が最高に面白い。行動は能天気なのに、本人はどうしようもなく苦悩している姿が、主人公との熱い人間関係を感じさせてちょっとグッときます。原田芳雄演じる主人公は、村歌舞伎の場面でビシっと締めつつ、枯れてしまえずに右往左往する年配の男の苦悩を温かみをこめて見せてくれます。これが遺作で、訃報を聞いた直後に見に行ったので、ファンとして忘れられない作品になりました。

 

 

第5位.「ざわざわ下北沢」(原田芳雄出演)

「ざわざわ下北沢」(原田芳雄出演)がおすすめの理由

下北沢の下町で、バイトをしながら淡々と暮らす若い女性の姿を軸に、町に生きる人々の日常を描いた小品。東京の市井で暮らす人々の日常の温もりを淡々と描いてきた市川準監督の、ひときわささやかで、しかし人生がゆっくりと動く瞬間を確かに捉えたような異色作です。主人公の女性は、日々をマイペースに過ごしながら、身近にいる芸術に関わる人と交流し、このあたたかな街並みの中で充実した生活をしているように見えるのですが、最後にはこのままではいけないと感じて、出ていくことを選びます。若者の成長の中で必ず訪れる旅立ちの決意を、日常のゆったりした流れの中で確かに感じさせる作品でした。原田芳雄は、地元の小劇場で活動する役者を演じています。彼がヒロインに語る人生観は、アドリブのインタビューではないかと思うような生々しさで、若者を見守る視線が心に残りました。

 

 

第4位.「祭りの準備」(原田芳雄出演)

「祭りの準備」(原田芳雄出演)がおすすめの理由

高知の田舎で銀行に就職したものの、脚本家の夢を捨てきれず悶々と暮らす若者が、東京に飛び出していくまでの物語。若者をとりまく地元の人たちは、とにかく個性的で無秩序で、閉鎖した地方の面白さを醸し出しつつも、この中で安住していてはいけない、という焦りを感じる彼の気持ちはよくわかります。原田芳雄演じる男は、主人公のアニキ的な年長者で、町の言ってしまえばチンピラのような感じ。町の無秩序を象徴するような人物でもあり、最終的に殺人を犯して追われる身になってしまいます。そんな彼が、ラストに町を出ていくことを決意した彼と出会い、万歳を叫びながら見送る姿が印象的です。何も考えずに飛び出していける若者と、追われながらも町を離れられないところまで来てしまった男の対照がせつなく、胸に迫りました。清廉ヒロインかと思った竹下景子が、インテリと女を武器にしてひたすら感じ悪く描かれるのもちょっと衝撃的で、今から見てもかなり攻めた映画だったんだなと思います。

 

 

第3位.「父と暮らせば」(原田芳雄出演)

「父と暮らせば」(原田芳雄出演)がおすすめの理由

広島の原爆で父を亡くし、一人でひっそりと戦後を暮らす娘の元に、父親の亡霊が現れる物語。ストーリーだけ見ると戦争を題材にしたファンタジーですが、彼らは原爆の日にもうこの上なく悲しい別れを済ませていて、ファンタジックな再会の盛り上がりはありません。娘と亡霊として現れる父親との会話はそのまま、自分が幸せになってはいけないと思い込む心と、そこから立ち直ろうとする娘の心の葛藤でもあります。安易に死者が戻って生者の人生に関わり続けるのでなく、あくまで娘の心の中の存在として彼女の人生に影響を与えていくという位置づけがとても誠実で、感動しました。父親を演じる原田芳雄は、明るいオチャメなおとったんの温かさが伝わって、心に寄り添うような存在感に泣かされます。娘を演じる宮沢りえも、生き残ってしまった者の罪悪感という、理不尽だけどどうしようもない感情を、痛ましいほどの華奢な佇まいの中にかたくなに感じさせて素晴らしい名演でした。

 

 

第2位.「スリ」(原田芳雄出演)

「スリ」(原田芳雄出演)がおすすめの理由

老いた一匹狼のスリのささやかな再生を描いた作品。アウトローな生き方を貫く主人公は投げやりなようでいて、寄る辺ない若者たちと心を通わせ、人との関わりをどうしても断ち切れない男の生き様が鮮烈に心に残ります。彼を父のように慕う真野きりなの、彼から受け継いだスリの技術を誇りに思いつつ、アル中でどうしようもない彼を心配してやまない切羽詰まった優しさもいい。断酒会の世話人の女性が、かなり上からな感じで彼を気にかけ、断酒させようとアプローチしてくるのですが、結局彼に惚れている自分に逆らえず、ベロベロに酔っぱらって乗り込んでくるのが面白い。風吹ジュンが見せる女の鬱陶しさと可愛らしさが絶妙でした。そして、銭形警部的に彼をつけまわす石橋蓮司の刑事が、彼を牽制しているようでいて、スリとして復活させようとつついているような、矛盾した愛情を感じさせるのも泣かせます。

 

 

第1位.「鬼火」(原田芳雄出演)

「鬼火」(原田芳雄出演)がおすすめの理由

かつて鉄砲玉だった男が出所し、ヤクザ業界から足を洗おうとするが、どうしようもない縁にもまれ、再び銃を手に取ってしまう物語。ヤクザ映画というジャンルを超えて高く評価された作品で、90年代後半から日本映画を見始めた私が初めて原田芳雄という俳優を認識した映画でもありました。変わってしまった時代に戸惑いながらも、自分を理解してくれる人たちと静かに暮らすことを願い、しかし自分の中の炎に突かれるようにそれを果たせない不器用な男の哀しみが、朴訥として多くを語らない彼の佇まいから切ないほど伝わってきました。初めは自分の復讐のために彼に近づくピアニストを演じる片岡礼子が、しだいに彼と深い絆で結ばれ、彼に引き金を引かせる元凶でありながら、かけがえのない救いにもなっていく、女のズルさと大きさを感じさせるのも見事。彼を慕うゲイの青年を演じる北村一輝も心に残ります。ヤクザ映画という、自分の日常からは遠い世界を描いた作品ですが、ままならない人生への共感を深く感じさせてくれました。

 

 

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