デヴィッド・クローネンバーグ監督おすすめの映画ランキングTOP5

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デヴィッド・クローネンバーグ監督おすすめの映画ランキングTOP5

1980年代、アナログSFXの技術が進化した時代に、その特色を大いに生かして悪趣味に近いグロい映像を取り込みながら、その中に自らの哲学を映しこんだ、類稀なる奇才です。21世紀になってストレートなバイオレンス劇に傾斜しましたが、まだまだ見る側がビックリするような作品を作り続けて欲しいです!

 

 

第5位.デヴィッド・クローネンバーグ「デッドゾーン」

デヴィッド・クローネンバーグ「デッドゾーン」がおすすめの理由

80年代のクローネンバーグ作品の中では唯一と言っていい、「内臓感覚」によるグロなテイストが劇中に無い作品。それゆえ若干「薄味」な印象は否めませんが、スティーヴン・キング原作による「自らの意思に反して超能力を持ってしまった者の悲劇」という物語は、超能力者同士が戦い合う「スキャナーズ」にも通じるところがあるかもしれません。この物語の悲劇性は、主人公に触れた人物の「未来」が見えてしまうというところで、普通に考えれば素晴らしい能力なのですが、「今売り出し中の政治家」が、近い将来「核ミサイル発射のボタンを押す未来」を見てしまったなどと、誰が信じるでしょうか?それを訴えたところで、反対勢力の根拠なき悪質な妨害と取られてしまうでしょう。それゆえ、主人公が取らざるを得なかった「単独行動」。傍から見れば、単なる危ない奴、テロ行為。しかしそれがまごうことなき「正義」であることは、映画を見た観客だけが知っている。この「共犯者感覚」は、映画を見る上での醍醐味のひとつと言えるでしょう。

 

 

第4位.デヴィッド・クローネンバーグ「ザ・ブルード/怒りのメタファー」

デヴィッド・クローネンバーグ「ザ・ブルード/怒りのメタファー」がおすすめの理由

「シーバーズ」「ラビッド」の頃から見られた、80年代のクローネンバーグが求め、そして執着してやまなかった「最新医学による肉体変貌がもたらす悲劇」というテーマ、その頂点に立つとも言えるホラーテイストのサスペンスです。カナダ時代のクローネンバーグ特有の何か乾いたような空気感、エコーのかかったような音響が、見る者の不安をかきたてます。この映画でのテーマはなんと、人間の持つ怒りや憎悪などの感情を、「腫瘍化」して外科手術により取り除こうという、トンデモないもの。ダークSFとしてこれ以上ないほどの不穏なテーマはやはり悲劇へと結びつき、女性の怒りが腫瘍化し、それを子宮として「怒りの権化」とでも言える子供が産み落とされるという、これまたよくそんなことを思いつくなあ!という恐るべきアイデア。この、怒りの権化の子供と「実の子供」が並んで歩くシーンの、静けさに満ちた美しさ。本当に、クローンバーグはすげぇ監督だ、とんでもない監督だ!と改めて実感した作品です。

 

 

第3位.デヴィッド・クローネンバーグ「ヒストリー・オブ・バイオレンス」

デヴィッド・クローネンバーグ「ヒストリー・オブ・バイオレンス」がおすすめの理由

1980年代までの、最新科学・医療などによる肉体変貌の招く悲劇をテーマにしていた頃に比べ、90年代に入り描くべきテーマを暗中模索していた感があったクローネンバーグでしたが、21世紀になって「ストレートにバイオレンスを描く」ことに活路を見出したか!と言いたくなるような、映画を見る側にその痛みが直に伝わってくる気さえさせる、痛烈なバイオレンス劇であり、快作です。主演のヴィゴ・モーテンセンと妻役のマリア・ベロという素晴らしい役者との出会いも幸運だったと言えるでしょう(二人のチアリーダーコスプレでのSEXシーンは一度見たら忘れられません!)捨て去ったはずの過去に再びまとわりつかれ、決着をつけるべく敵陣に乗り込んでいく主人公のカッコ良さ!そして強さにまたビックリ!ラストの「テーブルを囲む家族のシーン」の静けさが、いつまでも胸に残る名シーンと言えるでしょう。このバイオレンスへの傾斜は続く「イースタン・プロミス」でも受け継がれましたが、それ以降はまた作品に「迷い」があるような・・・またぜひ、ヒリヒリするようなバイオレンス劇、撮って欲しいと思います。

 

 

第2位.デヴィッド・クローネンバーグ「ザ・フライ」

デヴィッド・クローネンバーグ「ザ・フライ」がおすすめの理由

ホラー映画の古典「ハエ男の恐怖」のリメイクではありますが、最初から最後までクローネンバーグイズムに満ちた怪作であり、快作になっています。この1作で主演のジェフ・ゴールドブラムは「ハエ男男優」という名称をもらってしまうほど、そのインパクトは絶大でした。自らの物体転送の研究が、自らの肉体を「向上」させるものだったと勘違いし、彼女にも転送をすすめたりする愚直さと愚かしさ。そして、それが「ハエの遺伝子と結びついたため」だったとわかってからの、ひしひしと押し寄せる恐怖。中盤過ぎまではそれでも「大人しい」描写に留めていますが、主人公が「ハエ式の食事」を取るあたりからタガが外れ始め、クラアイマックスは怒涛の人体破壊!「ハエへの変異」なんですが、これは稀に見る人体破壊描写と言って差し支えないでしょう。そしてラスト、もうすでに「生き物」の形すら留めていない主人公を見てなお、撃てないと首を振るジーナ・デイヴィス。やはり、名作といわざるを得ません。

 

 

第1位.デヴィッド・クローネンバーグ「ビデオドローム」

デヴィッド・クローネンバーグ「ビデオドローム」がおすすめの理由

クローネンバーグによる、アナログSFX全盛だった80年代を代表すると言える、難解にしてインパクト絶大なシーンに満ち溢れた衝撃作です。ビデオテープが生きているかのようにクネクネと動き出し、お腹にパックリと裂け目が生まれ、自分の手と拳銃が「合体」する。最初に目にした時には誰もが自分の目を疑うであろう、リック・ベイカーの手による悪夢のような人体変貌&破壊描写は、21世紀の今見ても驚愕するほどです。ビデオで見た刺激が肉体を変化させ、その人間を支配していくというテーマはいかにもクローネンバーグですが、本作が作られた時代はビデオテープを題材に「ブラウン管を通して」ということになっていますが、これをインターネットとそれを閲覧するブラウザに置き換えれば、そのまま現代にも当てはまる題材だと言えます。「メカニズムと一体化する人体」という描写は、この時代の日本の映画「鉄男」や漫画「アキラ」などでも同時多発的に描かれ、そして受け継がれたと言えるでしょう。

 

 

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