テリー・ギリアム監督おすすめの映画ランキングTOP5

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テリー・ギリアム監督おすすめの映画ランキングTOP5

彼の描き出すファンタジックな映像美とそのダークな内容のコントラストが好き。作品の根底には現実世界にはびこる悪や社会問題、親子や家族のあり方などがあり、単なる空想世界を表しただけでない、味わい深さがある。

 

 

第5位.テリー・ギリアム「ブラザーズ・グリム」

テリー・ギリアム「ブラザーズ・グリム」がおすすめの理由

グリム童話のグリム兄弟が童話のネタ探しの旅で遭遇するダークなファンタジーで、めずらしく大衆受けする分かりやすいストーリーとストレートなハッピーエンドに安心する。たまにはいいかもしれないが「ヘンゼル&グレーテル」と時々混同することも。森の中の動き出す木などの使い方はティム・バートンにも負けずとも劣らず、随所に赤ずきん、ヘンゼルとグレーテル、ラプンツェル、ジャックと豆の木のエピソードが散りばめられていて、「あ、これはあの話」と突っ込みながら見ると面白い。そして少女のかどわかしという恐ろしげな現象をジンジャーブレッド・マンなどコミカルに作られたキャラクターでユニークに仕上げているのがまたモンティ・パイソン風で彼らしい。また鏡の女王を演じたモニカ・ベルッチの美しいこと。ラストの鏡の破片のワンシーンに続編を期待したのは私だけではないと思うが、この大衆受けする出来上がりは彼の意図するところのものではなかったらしいので、おそらく続編を見ることはないだろう。

 

 

第4位.テリー・ギリアム「未来世紀ブラジル」

テリー・ギリアム「未来世紀ブラジル」がおすすめの理由

近未来を描いた昔の映画で「ブレードランナー」「メトロポリス」同様この手の映画は大好き。1度観ただけでは良くわからない内容だが、情報化社会はハエ1匹でコンピューターが誤作動し、重大問題に発展するという危うさや、管理された世界は人を狂わせ、妄想に走らせるという恐ろしさは、現実に今起こっていることを再認識させるものがある。その未来を見据えたような内容と、“ダクト”という普通目にも留めないようなものにスポットを当てる感性、そして拷問シーンで登場するお面など悲惨な状況に登場するコミカルな部分は、「ローズ・イン・タイドランド」にも言えるが、単なるダークをファンタジーに変える手腕はすばらしいと思う。主人公が愛する人を救うヒーローを夢見ながら、管理社会に取り込まれて正気を失ってしまうというラストシーンは公開当初カットされていたというが、このシーンあってこそテリー・ギリアムの作品なのだろうと確信する。作中のロバート・デ・ニーロは今考えれば贅沢な使い方だな、と思う一方、この役だから味があるのだろう。

 

 

第3位.テリー・ギリアム「Dr.パルナサスの鏡」

テリー・ギリアム「Dr.パルナサスの鏡」がおすすめの理由

撮影の途中で出演者であるヒース・レジャーが亡くなってしまい、代役を探していたテリー・ギリアムの呼びかけに応じて、ヒースの友人であるジョニー・デップ、ジュード・ロウ、コリン・ファレルの3人が出演して完成にこぎつけたという曰くつき&友情が成し遂げた作品だということ。といっても観た感じはそんな華々しさはないので、そういう風に演出した結果なのか、期せずしてそうなってしまったのかは不明だが結果的には1人の人物を4人が演じる違和感がというものがなく、よかったと思う。現実の扉の向こうに広がる、人々の欲望を映し出す鏡の世界は、パワーアップしたヴィジュアルで期待を裏切らない彼のファンタジック・ワールドが満載だが、うっかりそれに気を取られているとストーリーそのものを見逃してしまうので要注意。己の欲のために悪魔と取引をして娘を犠牲にした父親とその娘のたどる結末は「バンデットQ」「ローズ・イン・タイドランド」同様、この映画にも親のエゴと子の独立といった現代の問題を示唆している。そしていつの時代にも悪魔は存在する、ということも。

 

 

第2位.テリー・ギリアム「ローズ・イン・タイドランド」

テリー・ギリアム「ローズ・イン・タイドランド」がおすすめの理由

公開のキャッチから「不思議な国のアリス」筋を期待した人には酷な作品だろう。それでも10歳の少女がヤク中の両親を2人とも失って一人ぼっちになり、出会った大人はおかしげな人だけというありえないほど残酷な現実を、彼の映像美と少女の無邪気さとでファンタジーと言わしめてしまったすごい映画だと思う。現実を分かっていないのか現実逃避なのか少女の正気を疑い、どこまでが現実でどこからが少女の空想なのかが分からない不確かさが観る者を不安にさせる。知的障害を持つ大人の男との性愛やら死んだ父親の遺体損壊などといった題材は他の人が撮ったらおそらく普通の社会派ドラマになるんじゃないだろうか。それでも彼が撮れば立派なダーク・ファンタジーとなる。勝手な思い込みかもしれないが、「ブラザーズ・グリム」の撮影中断中に作ったとされるこの映画は、大衆受けする「ブラザーズ・グリム」の反動でテリー・ギリアム・ワールドが炸裂したように感じる。こういうダークでファンタジックな映画が大好き。

 

 

第1位.テリー・ギリアム「バンデットQ」

テリー・ギリアム「バンデットQ」がおすすめの理由

彼の映画で1番最初に観た作品。親に関心を寄せられない少年ケヴィンが、時空を超えた強盗団である小人たちと旅をするファンタジー。ナポレオンやロビン・フッドなど行く先々で出会う歴史上の人物がユニークに描かれているが、アガメムノン王を演じた若かりし頃のショーン・コネリーの男前さにはホレボレしてしまう。そして小人たちを執拗に追いかけ、恐怖に陥れてきた創造主である神様が、三つ揃いのスーツを着たまるで企業のCEOのような姿なのが面白い。「ドグマ」もしかり、こうした神様が意外な姿で現される映画が私は大好きだ。また、ケヴィンがあちこちで撮った写真が家に帰ってからも手元に残っていることで、彼の体験が単なる夢ではなく現実につながっているということ、もう1つ重大なポイントとしては、子供に対して無関心な親がたどる結末と、子はそれを受け入れて強く生きていかなくてはいけない、というメッセージもしっかり読み解かなくてはいけないと思う。ジョージ・ハリスンの主題歌も最高で、見終わったあとにいつまでも頭の中に残る。

 

 

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