河瀨直美監督おすすめの映画ランキングTOP5

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河瀨直美監督おすすめの映画ランキングTOP5

人間の機微と、自然や世界の哀しいくらいの美しさを表現することがとてつもなく素晴らしい監督の一人であるため、選出しました。数々の賞を受賞しており、そのことに心から納得できる作品の数々には思わず感嘆します。

 

 

第5位.河瀨直美「パラレルワールド」

河瀨直美「パラレルワールド」がおすすめの理由

ショートフィルムの作品で、PVのような印象的な美しさとともに切ないイメージがあふれる作品です。はじまりの舞台は卒業後、久しぶりに訪れた天体観測室。当時のまま時間が止まっていたその場所で、自然によみがえってくる記憶。あのときこうしていたならば、今頃はこんな世界に生きていたのかもしれないな、と人生の選択を、人生の機微を思わずにはいられなくなります。押しつけられるような感覚はなく、自然に心に溶け込んでくる感覚が心地よく染み渡ります。夏の暑さや木漏れ日、あの世界の空気がひしひしと感じられ、それはもう痛いくらい。出演は山田孝之と石井杏奈。まさかのほぼ一日で撮影をしきったという裏話や、台詞がほぼアドリブだったという事実にも驚きとおもしろさを感じます。河瀬監督の母校である奈良の高校が舞台となっており、ロケハンの力にも感服してしまいます。まぶしくて、儚くて、切なくて、でも美しい、あの青い春。そんなWordに惹かれる人には特におすすめです。

 

 

第4位.河瀨直美「Vision」

河瀨直美「Vision」がおすすめの理由

世界中を旅する紀行文エッセイストのフランス人女性ジャンヌが、とあるリサーチのために奈良の吉野を訪れ、山守の男である智と出会うことから物語は始まります。言葉や文化の壁を超えて次第に心を通わせていく二人の様子は見入ってしまうものがあり、二人が生活をしている杉の木立が連立する森は神話の物語の舞台のような神々しさを感じます。私たち人間のいのちと、自然。これらは絶対に切り離せないものであること、そしてその中で生きていくこと。実は最初に見たときはわからないぞ?となる部分も多かったのですが、自分の中で反芻する打ちに、言語を超えて理解できると感じはじめ、少しずつ私の映画となっていきました。それこそ、森のいのちの循環のゆったりとした時間と、自分の中での映画の反芻にかかる、ゆったりした時間がリンクして、見終わった後の余韻まで作品にしてしまうような不思議な感覚を味わうことが出来ます。どうか最後まで立ち上がらずに、ゆったりとした森のように、楽しんでもらいたい一本です。

 

 

第3位.河瀨直美「2つ目の窓」

河瀨直美「2つ目の窓」がおすすめの理由

奄美大島を舞台にした二人の少年少女の初恋と成長の物語。そのなかには限りある時間の中で生きていく人間の生きる覚悟と、人生に真摯に向き合う人たちの愛、そして無常が描かれます。とりわけ生と死を対比させた映像がとても印象的で、美しいのです。親子のつながりや夫婦のつながり、自然とのつながり、そして先祖とのつながり。そんな様々なつながりが今の自分を成していて、それはまた自分と対象との境界を曖昧にする。その象徴として、水が用いられているのだなぁ、という気づきが心地よく感じました。それを感じられる最初と最後のシーンは必見です。河瀬監督だからこその気まずさのない、味わいのある余白があり、単純な感情の押しつけがないからこそ、この世界に自然と入り込んでいけるところも魅力的です。村上虹郎さんの映画主演デビュー作で、共演者の皆さんはベテランの役者さんばかり。役者陣の厚さもこの映画の厚みをつくっているなと思わず唸ってしまいます。

 

 

第2位.河瀨直美「光」

河瀨直美「光」がおすすめの理由

単調でつまらない、そんな日々を送っていた美佐⼦が、言葉で情景を説明するという視覚障碍者向けの映画の⾳声ガイドの仕事をきっかけに、弱視の天才カメラマン雅哉と出逢うことから始まる物語。無愛想な雅哉の態度にいらだっていた美佐子も、雅哉が撮影した夕日の写真に心を動かされ、徐々に心を通わせていきます。雅哉の視力は次第に失われていきますが、その中でも撮影されていくものたちはとても愛おしく感じられます。視力は失われていくけれど、映画タイトルの「光」の通り夕日や、森で見つけた母親や、その他にも沢山のシーンで光が登場し、それらの光が自然に涙を誘うような美しさなのです。視覚障害の話である以上重たいテーマになってしまう部分があるのですが、それに立ち向かうというのではなく、老いることを受け入れるように受け入れ、今を大事に生きることを認識させてもらえる映画になっているところが素敵でした。喪失と希望と、そんなものを巡る映画であると感じさせられます。

 

 

第1位.河瀨直美「あん」

河瀨直美「あん」がおすすめの理由

どら焼き屋の雇われ店長として一日一日をこなすように過ごしていた千太郎。そこへある日、どら焼き屋で働くことを懇願する一人の老女、徳江が現れ、どらやきの粒あん作りを任せることに。徳江の作った粒あんはあまりに美味しく、みるみるうちに店は繁盛。しかし心ない噂が流され、彼等の日常は壊されてしまいます。ハンセン病患者をテーマの一つにおいた作品です。人間の弱さ、それさえも包括する達観する強さ。そんなものを感じさせ、希望を心に抱かせてもらえるのはやはり樹木希林さんの演技の賜物であるなぁと思いました。いい意味で、演技をしていないような、ポンポンと飛び出す台詞は愛おしく、思わず笑みがこぼれます。「私たちはこの世を見るために、聞くために生まれてきた。だとすれば、何かになれなくても、私たちには生きる意味があるのよ」という言葉がしんみりと、そしてじわりと響きました。あんをつくるシーンはとりわけ印象的で、小豆を丁寧に、優しく愛おしそうに扱う徳江の姿は、あんをつくる以上の何かを私たちに伝えてくれるように感じました。

 

 

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